何人かの方から、「スロートレーニングってどういうものですか?」とか「効果はあるんですか?」などという質問を頂きましたので、今日は「スロートレーニング」についてお話します。

【スロートレーニングって】
もともと、1970年代に骨粗しょう症に悩む女性のためのトレーニング法として、研究されたプログラムのことです。
現在では、NFL、NBAなどのプロアスリートたちも実践していることで有名になりました。
プロスポーツに限らず、競技のパフォーマンスをあげるという目的の選手にとって、高重量を上げるのみのトレーニングは、靭帯の損傷や筋肉の断裂などをひき起こすこともあるので、筋力をアップする効果は認められるものの、最適のトレーニングではない場合もあります。そういった選手にとって、怪我の予防もしつつ、筋力も向上させるスロートレーニングは大変効果的なトレーニング法とされています。
スロートレーニングがアスリートばかりではなく、高齢者、リハビリ中の人にも有効といわれるのもうなずけます。

【スロートレーニングのメカニズム】
今までのトレーニングは激しいトレーニングによって筋繊維を合法的に傷つけ、それを修復するためにサテライト細胞が増えるというメカニズムを利用したものです。

同じサテライト細胞を増やすためには、もうひとつ方法があります。それは「低血流状態にすること」です。
低血流状態というのは「筋肉の中の血流を滞らせる」こと。そのためには

★ゆっくり動作を行うこと
★適切な負荷を扱うこと
★筋肉を休ませないこと

すなわち、スロートレーニングです。この3つがスロートレーニングの基本です。

【どのくらいスローならばいいのか】
スロートレーニングの基本は上半身を70秒で7~10レップス、下半身は90秒かけて10~12レップスやると効果が出るとされています。
反動(チーティング)は出来るだけ利用せず自分で重量をコントロールする意識を持ってやりましょう。。そうする事によって腱や靭帯に負担を掛けず、筋肉を追い込むことができます。

【どのくらいのウェイトでやればよいのか】
相当軽いダンベルでこのスロートレーニングをやっている人をみかけます。これでは、筋肥大は期待できません。
先ほど、スロートレーニングのメカニズムで紹介したように、サテライト細胞に刺激を与えるためには、筋肉を低血流状態にする必要があります。このためにはMAXの40%以上の負荷が必要だということが解ってます。

【ただし....】
こんな素晴らしいトレーニング法なのですが、われわれのような筋肥大を目的とするトレーニーにとって、気になる報告がありました。

2000年の全米ストレングス&コンディショニング協会総会においてスロートレーニングと通常のトレーニングにおける筋肉のサイズと筋力への効果を検証した結果、初心者には絶大な効果(通常のトレーニングと比較して最大筋力で約1.5倍の差)が認められたが、十分にトレーニングされたグループの場合はサイズおよび筋力とも明らかな向上は認められなかった。。。
こんな報告がされています。

確かにこのスロートレーニングだけで、顕著な筋肥大をしたとは聞いたことはありません。やはり、個人的には高重量でのトレーニングが筋肥大の最短の方法ではないかと思います。しかし、スロートレーニングはとても素晴らしいトレーニング法だと思いますので、初心者の方は積極的にスロートレーニングをして欲しいと思います。また、上級者の方はこのスロートレーニングと通常のトレーニングをうまく組み合わせて安全に追い込むトレーニング法を体得して欲しいと思います。